ヴァイオリンviolin[英] Violine, Geige[独] violon[仏] violino[伊]
ヴァイオリンは中世の2種類の弓奏弦楽器、すなわちフィドル fiddle [英] (ヴィエール vielle [仏]、ヴィオラ viola 、リラ lira [伊]:特に中高音域を担当した中世の弓奏弦楽器の総称)とレベック rebec(アラブの楽器に起源を持つ中世・ルネサンス時代の擦弦楽器)から発達したと考えられています。
16世紀の初頭まで、イタリアでは弓を使って弦を擦って音を出す弦楽器のうち、『腕に構える』タイプものを「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ」または「リラ・ダ・ブラッチョ」と呼んでいました。イタリア語でヴィオラやリラは弓奏弦楽器、ブラッチョは腕という意味で、小型の高音楽器から大型の低音楽器まで、様々なサイズや形のものがあったようです。
1520年頃から「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ」の小型の高音楽器を、『小さなヴィオラ』という意味の「ヴィオリーノ(ヴァイオリン)」の名で呼ぶようになります。この時代になると、3弦ながらも表板に開けられた響孔がf字型になるなど、現在に続くヴァイオリンの特徴がすでにそなわっていました。そして、16世紀の後半には4弦になり、現在のヴァイオリンの原型が出来上がります。
ところで、アマーテやストラデヴァリウス、グアルネリなど、17世紀の名工によって作られた楽器が、現在も最高の楽器として使用されている事から、今日までヴァイオリンという楽器には変化がないように考えられがちですが、実際の所は、時代によって微妙な違いが存在しています。
例えば、バロック時代のバイオリンは棹が楽器に対してまっすぐ付けられていました。また、弓の形なども、バロック時代のものは実際の弓のように真ん中がふくらみ、先が鳥のくちばしのように尖っています。構え方も、現在のように顎にはさむのではなく、絵画などを見るかぎり、脇や肩、喉元などに当てて支えるだけだったので、顎当ても必要ありませんでした。
つまり、現在の私達が目にするバロック時代のヴァイオリンは、多くが現在の大ホールや演奏方法にかなうように、より張りのある大きな音が出せるように、かなりの改良が施されたものなのです。