Early Music Art Gallery  ―――リコーダー(7)―――


ジョルジョーネ『フルート奏者』
ジョルジョーネに帰属
Giorgione (attr.)
(1477/78-1510)

『フルート奏者』
The Flute Player

制作年不明

ローマ,ボルケーゼ美術館
Galleria Borghese, Roma



ルネサンスジョルジョーネは、30歳代で夭折した画家ですが、質感や雰囲気の表現を通して人間の感情に直接訴える、色彩豊かで感覚的なルネサンス・ヴェネツィア派の画家の中でも、最も重要な画家のひとりです。しかしながら、その生涯には不明な点が多く、サインや年記のある作品も全く残されていません。

ジョルジョーネは「カステルフランコのジョルジョ」(ジョルジョ・ダ・カステルフランコ Giorgio da Castelfranco)とも呼ばれるため、ヴェネツィアの西北に位置するカステルフランコで1477年から78年に生まれた、ジョルジョ・バルバレリ Giorgio Barbarelli と同一人物であろうと考えられています。

ベネツィアの画家ジョバンニ・ベリーニ Giovanni Bellini (c.1426-1516) のもとで修行したとされ、多くの学者によってジョルジョーネの作品と認められているのは、「カステルフランコ祭壇画」(1504)、「3人の哲学者」(1505〜07頃)、「嵐(テンペスタ)」(1505〜07頃)などわずかな作品にすぎません。

けれど、彼の作品に見られる叙情的な光の効果や自然空間の描写、詩情豊かで柔らかに肉付けされた人物表現などは、その後の多くの画家たちに多大な影響を与えました。

『フルート奏者』は、同じローマのボルケーゼ美術館に所蔵されている『情熱の歌手』とともに、ジョルジョーネの真作であるかどうかが、多くの学者たちによって議論され、いまだに決着がつかない作品のひとつです。

確かに、明暗の描写方法は非常にジョルジョーネ的ではあるのですが、帽子が大きくずれて汗止めのはちまきが覗いて見えるところや、歯をむき出しにしたフルート奏者の粗野な表情などは、一般的に考えられる繊細なジョルジョーネの画風とは、かなり違っているように思われます。

また、描かれたような太い笛が、16世紀後半になってから発達したものであることから考えても、この堂々たるフルート奏者は、マニエリスムの時代に描かれたと考えるのが妥当であるような気がします。

(2004/07/25)

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