|
ルーカス・クラーナハ(父) Lucas Cranach the Elder (1472-1553) 『エジプトへの逃避途上の休息』 The Rest on the Flight into Egypt 1504年制作 ベルリン国立美術館 Gemaldegalerie, Staatliche Museen, Berlin |
||
|
ルーカス・クラーナハは、ドイツ・ルネサンスの代表的な画家・版画家のひとりです。本名は、ルーカス・ミューラー Lucas Muller、またはルーカス・ズンダー Lucas Sunder だったらしいのですが、生まれ故郷のバイエルン地方クローナハ Kronach の地名を自らの呼び名としたようです。 彼の前半生はほとんどわかっていませんが、1501〜04年まではウィーンに住んでいたと考えられています。1505年にウィッテンベルク Wittenberg のザクセン選帝侯の宮廷画家となり、以後50年までその地位にありました。また、ドイツの宗教改革の指導者であったルター Martin Luther (1483-1546) の友人でもあり、多数のルターの肖像画も描いています。 クラーナハは、一般的に鋭い性格描写を特徴とする肖像画や、女性の裸体描写に優れた画家として有名です。けれど、彼の初期の作品のひとつである『エジプトへの逃避途上の休息』は、それらに比べると、かなり異なった雰囲気を感じさせるのではないでしょうか。 美しい森の中でくつろぐ聖家族は、夏の一日を木陰で遊ぶドイツの民衆の姿で描かれ、その側で笛をって歌い、楽しげに遊び回る天使達も、愛らしい子供として描かれています。後ろに立つ聖ヨセフには、この風景の守護者のようなおもむきさえあります。 自然風景と人物を叙情的に、そして生き生きと描いたこの絵は、デューラー Albrecht Durer (1471-1528) の影響を受けつつも、北方ルネサンスの宗教画として、ひとつの頂点を示しているのではないでしょうか。 (2004/05/16)
|
|||