リコーダーrecorder[英] Blockflote[独] flute a bec[仏] flauto dolce[伊]
リコーダーは、縦吹きフルートの代表的な楽器です。鳥のくちばしに似た吹き口には「フィップル fipple」と呼ばれる小さな木片が埋め込まれ、狭い通路を通った空気が歌口(管壁上部の切り込み)のエッジに当たって音を出します。この原理で音を出す笛はフィップル・フルート fipple flute と総称されますが、その中で8つの指孔(表側7個、裏側1個)を持つものをリコーダーと呼んでいます。
リコーダーが現在の形に標準化され始めるのは、ルネサンス以降のことです。1500年頃には指孔も現在の数に落ち着きはじめ、ディスカントス(ソプラノ)管やアルト管、テノール管、バス管など、様々な音域のものが作られました。そして、17世紀の中頃に全体を3つの部分に分解できるようにした、バロック式リコーダーが出現します。
現在では、フルート(イタリア語ではフラウト)の語は横吹きのフルートに使用しますが、古来、この語はリード(笛の上端に装着して発音体とする舌状の物体)を持たない笛の総称で、縦笛にも横笛にも使われました。ただし、バロック時代の終わり頃までは、フルートと言えば縦吹きフルートを指し、横吹きのものはフラウト・トラヴェルソ(横の笛)と呼ばれて、「横吹き」であることが明言されていました。
1600〜1750年頃までは、管弦楽曲の楽譜に「フルート」と書かれたパートでは、標準的にリコーダーが使われました。中でもアルト管は、独奏、室内楽、声楽の助奏などに広く用いられていたようです。ちなみに、英語のリコーダーは「鳥の鳴き真似」を意味する古語に由来し、ドイツ語のブロックフレーテは「栓の笛」の意味です。
フルートが横笛を指すようになった古典派時代以降、リコーダーは忘れられた楽器になりましたが、20世紀前半から復興運動が起こり、現在では古楽の演奏に不可欠な楽器であるだけでなく、学校教育や現代音楽でも広く使用されています。
ところで、ルネサンスからバロックにかけの絵画の中には、多くの縦笛が登場しますが、リコーダーだと断定できない物が多々あります。とりあえず、リコーダーも含めて、フィップル・フルートが描かれていると思われる絵を集めてみましたが、あきらかな間違いが見つかりましたら、メールか掲示板でお知らせ下さい。よろしくお願い致します。