Early Music Art Gallery  ―――オルガン(40)―――


エマヌエル・デ・ウィッテ『教会堂内部』
エマヌエル・デ・ウィッテ
Emanuel de Witte
(c.1616-1691/92)

『教会堂内部』
Interior of a Church

1674年制作

ドイツ,ケルン,ヴァルラフ=リヒャルツ美術館
Wallraf-Richartz Museum, Cologne




デ・ウィッテは、教会内部図で名声を築き上げたオランダの画家ですが、最初に手を染めたのは肖像画や人物画でした。教会内部図を描くようになったのは、1650年代頃からだと考えられています。

彼はアルクーマ Alkmaar で生まれましたが、生年がいつだったのかはわかっていません。1635年にアルクーマの画家組合に登録されますが、1639年にはロッテルダムに移り、1641年にはデルフト、1650年頃からはアムステルダムというように、各地を転々としています。

1658年に彼の妻が窃盗で投獄されたという記録もあり、あまり幸福とは言えない生活だったのではないでしょうか。また、彼は1691年の暮れに失踪し、その11週間後の1692年初頭に凍った運河で死体となって発見されましたが、これについては自殺説をとる美術史家も多いようです。

そんなデ・ウィッテですが、教会内部図の画家としては、サンレダーム Pieter Jansz. Saenredam (1597-1665) と並び称せられるほど有能でした。ただ、サーンレダムが明確な視点で現実の教会の細部を精密に描くのに対して、デ・ウィッテは光と影のコントラストを強調し、細部は曖昧にされることが少なくありません。

ここで取り上げた『教会内部図』でも、暗い教会内部の人物も装飾も、そのほとんどが闇の中に溶け込んでいます。右側が柱に隠れているものの、美しく装飾されたパイプ・オルガンや、正面の窓を飾るステンドグラスが、教会内部図であることを示しています

ところで、1578年の「改宗」ののち、アムステルダムは厳格なカルバン派のプロテスタントの国になったため、このようなオルガンやステンドグラスが存在した教会は、極めて少なかったと思われます。この絵は、「理想的なカトリック教会」を模して描いた、空想の産物である可能性が高いのではないでしょうか。

(2004/05/08)

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