オルガンorgan[英] Orgen[独] orgue[仏] organo[伊]
調律されたパイプ(管)の中で空気が振動し、音を出す鍵盤楽器、つまり日本で言う「パイプ・オルガン」を「オルガン」と言います。幼稚園や小学校などでよく見られる、日本で一般的にオルガンと呼んでいる楽器は、正式にはリード・オルガンと呼ばれる物です。オルガンは、"ふいご"で圧力をかけた空気を溜めておく"風箱"、パイプにつながった"鍵盤"、音を出す多種多様な"パイプ"からなる複雑な構造をしています。風箱からパイプに空気が送られて音が出ますから、鍵盤楽器と管楽器の複合体だと言うこともできるかもしれません。
オルガンは2000年以上の歴史を持ち、その原型はアレキサンドリアの技師クテシビオス(紀元前2〜3世紀頃に活躍)が発明したとされる「ヒュドラウ hydraulis」です。ヒュドラウリスは、パイプに送られる空気の圧力を安定させるために水圧を利用したため、「水オルガン」とも呼ばれました。4世紀には水を使用しないふいごが現れ、今日のオルガンと基本構造がほぼ同じになります。しかしながら、ヨーロッパでオルガンが発達するのは8〜9世紀に古代ローマ帝国やビザンティン帝国から逆輸入されて以後の事です。
ヨーロッパでのオルガンは、教会音楽と密接に結びつい発達していきました。中世初期のオルガンは現在とは違い、すべてのパイプが同時に鳴り響く恐るべき楽器だったようす。現在に近い形になったのは14〜15世紀頃だと言われ、この頃には、教会に設置されるような大オルガンだけでなく、奏者が携帯できるポルタティフ・オルガン(パイプが1列で、奏者が小さなふいごを操作する)や、ポルタティフより大型ながら運搬可能なポジティフ・オルガンなど、小型オルガンもよく使われました。
大聖堂に設置されたオルガンは増えるのはルネサンス時代ですが、バロック時代には国によってオルガンの構造や音色が大きく異なるようになり、各国で特徴のあるオルガンが建造されるようになりました。けれど、19世紀に入るとオーケストラの色彩感を模倣したオルガンが好まれるようになり、歴史的オルガンの多くが大改造を施されました。歴史的オルガンへの再評価が世界的な広がりの中で進められるようになったのは、20世紀に入ってからのことです。復興運動の広まりとともに、現在では国や時代による違いを考証した上でオルガンの修復が行われるようになり、現在では多くの歴史的オルガンがルネサンス・バロック時代の響きを取り戻しつつあります。