Early Music Art Gallery  ―――リュート(26)―――


カラヴァッジョ『リュート奏者』
カラヴァッジョ
Caravaggio
(1573-1610)

『リュート奏者』
Lute Player

1596年頃制作

サンクトペテルブルク,エルミタージュ美術館
State Hermitage Museum, St. Petersburg




カラヴァッジョの『リュート奏者』では、ここで取り上げたエルミタージュ美術館所蔵のものと、ほとんど同じサイズで同じ構図(机上の静物が違いますが)の、カラヴァッジョ自身か追随者によるレプリカだと思われる、ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵のものが有名なのですが、私が好きなのはエルミタージュ所蔵のものです。

カラヴァッジョの最初の重要なパトロンとなった、フランチェスコ・デル・モンテ枢機卿の依頼によって描かれたと思われるこの絵は、半身の人物像、卓越した静物描写、暗色の背景という初期作品の特徴を備えています。

リュートを弾く人物は、女性とも男性とも見ることが出来ます。暗い背景にくっきりと浮かび上がる人物は気怠げに愛の歌を歌い、どこか退廃的な雰囲気を漂わせています。男性でも女性でもない、両性を持った存在に見えなくはないでしょうか。

机上の楽譜は、ルネサンス期のイタリアで活躍したフランドルの音楽家の一人である、ヤコブ・アルカデルト(1505?-1568)のマドリガル 「君は知る、君への愛を Voi sapete ch'io v'amo」です。この絵が描かれた当時の人々は、この絵を見ると同時に、絵の中でに中に流れているリュートの旋律や、モデルが歌う歌詞を思い浮かべることが出来たことでしょう。

ところで、机上の楽器や花や果物などを総合すると、この絵はルネサンスからバロックにかけて流行した、五感を描いた作品だとも言えそうです。「花と花瓶=視覚と臭覚」「果実=味覚」「楽器=触覚」「楽譜と音楽=聴覚」といったところでしょうか。

(2003/06/22)

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