|
ヘンドリック・ホルツィウス Hendrick Goltzius (1558-1617) 『春』 Spring 1597年制作 ニューヨーク,メトロポリタン美術館 Metropolitan Museum of Art, New York |
|||
ハールレムで活躍したヘンドリック・ホルツィウスは、初期はオランダのマニエリスムを代表する版画家でした。火傷のために右手が使えなかったと言われますが、絵画の複製では素晴らしい技量を示し、「ローマの英雄 The Roman Heroes」 (1586)のシリーズに代表される、独創的な作品も残しています。 1590−91年に、ホルツィウスはドイツとイタリアを訪問し、アンニバーレ・カラッチに代表される、より古典的で自然主義的な芸術をオランダに持ち帰り、マニエリスムからの脱却をはかりました。版画の作成で視力が衰えが彼は、1600年頃から古典主義的絵画の制作を主に行いますが、それは版画ほど成功しなかったようです。 ここで取り上げた『春』は、版画から絵画への移行期の素描ですが、マニリスムを捨てた、古典主義的なホルツィウスの作風が示されると同時に、バロック期のオランダ絵画に通じる、軽妙で洒脱な風俗画的表現を見ることが出来ます。 もの皆芽吹く春は、恋に季節でもあります。キューピッドが狙うまでもなく、この2人は幸せな恋人同士なのではないでしょうか。リュートの軽快な音色と女性の美しい歌声が、この絵の中から聴こえて来そうな気がします。 (2003/12/29)
|
||||