Early Music Art Gallery  ―――リュート(24)―――


アンニバーレ・カラッチ『リュートを弾くジョヴァンニ・ガブリエリ』
アンニバーレ・カラッチ
Annibale Carracci
(1560-1609)

『リュートを弾くジョヴァンニ・ガブリエリ』
Giovanni Gabrielle with a Lute

1580-1609年頃制作

ドレスデン国立美術館
Staatliche Kunstsammlungen, Dresden




アンニバーレ・カラッチは、兄のアゴスティーノ Agostino Carracci (1557-1602) や従兄弟のロドヴィコ Lodovico Carracci (1555-1619) と共に、マニエリスムの過剰な表現を和らげ、ラファエロ Raffaello Santi (1483-1520)やミケランジェロ Michelangelo Buonarroti (1475-1564)らの様式を取捨選択した、折衷主義による「古典主義的様式」を確立した、カラッチ一族の一員です。

その中でも、アンニバーレは1597年から1600年にかけて、ローマの枢機卿オドアルド・ファルネーゼ邸宅のガレリア(回廊)に描いた、イリュージョン(錯視)効果を駆使した『バッカスとアリアドネの勝利』によって、後に盛期バロック様式を確立するコルトーナ Pietro da Cortona (1596-1669) やルーベンス Peter Paul Rubens (1577-1640) に強い影響を与えました。

ただし、自然に基づきつつも、理想美によってそれを補うというアンニバーレの本領は、繊細で優美な風景画や宗教画、アカデミーや工房の習作と思われる、寓意や教訓を含まない風俗にこそそ強く表現されているような気がします。

ところで、ここで取り上げた肖像画は、16世紀イタリアのヴェネツィア楽派を代表する音楽家の、ジョヴァンニ・ガブリエリ Giovanni Gabrieli (1554/47-1612) を描いたものです、眉間に寄っているシワが、モデルの人となりを表すと同時に、描き手の透徹した眼差しを感じさせないでしょうか。

(2004/01/04)

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