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ガスパーレ・トラベルシ Gaspare Traversi (c.1722-1770) 『音楽のレッスン』 Music Lesson 1755-60年制作 米国,ミズーリ州,カンザスシティ, ネルソン・アトキンズ美術館
Nelson-Atkins Museum of Art, Kansas City, MO, USA
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チェンバロを弾く女性の周囲を、何人もの男性が取り囲んでいます。男性達の素性をよくわかりませんが、身なりから言って裕福な人々ではありそうです。女性の後ろでフルートを吹いている男性や、縦笛のようなものを持っている男性は音楽教師かもしれません。チェンバロ越しに女性をのぞき込んでいる男性の表情は、女性に対して含むところがありそうに見えます。 狭い空間にびっしりと詰め込まれた人々は、息苦しさと同時に妄りがましささえ感じさせるのではないでしょうか。けれど、この絵を見たときに真っ先に鑑賞者の目に飛び込んでくる、正面を向いた女性の静かなまなざしの中に、この絵をそれだけのものに終わらせないという、画家の意志が感じられるのも確かなことのように思えます。 ガスパーレ・トラベルシは、生まれ故郷のナポリを中心に活躍した、ロココ時代のイタリア人画家です。宗教画も描いていますが、彼の能力は風俗画の方面に発揮されました。時代を風刺をこめて描いている点が、ヴェネツィアのピエトロ・ロンギと共通していますが、トラベルシはリアリステックで劇的に描いている分、時代への揶揄や皮肉がストレートに伝わってきます。 そういう点から言うと、トラベルシの絵は風俗画と言うよりは、風刺画と言った方がピッタリするかもしれません。けれど、風刺画が陥りやすい下品さとは一線を画しているところに、彼の芸術家としての独自性がうかがわれる気がします。 (2007/12/22)
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