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コッラード・ジアキント Corrado Giaquinto (1703-1765) 『ファリネッリの肖像』 Portrait of Farinelli 1753-56年頃制作 イタリア,ボローニャ市立音楽図書館 Civico Museo Bibliografico Musicale, Bologna, Italia |
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3オクターブ半もの音域があったと言われる、18世紀に絶大な人気を博したソプラノ・カストラート、ファリネッリの肖像画です。1994年製作の映画『カストラート』の主人公として知られるようになった彼の肖像画は何枚も残っていますが、この絵が最も華やかで、よく知られているのではないかと思います。 カストラート Castrato は、少年期に去勢手術によって人工的に変声を止めた、男性のソプラノまたはアルト歌手のことです。教会音楽の歌唱に女性の参加が許されなかったため、16世紀後半からバチカン礼拝堂の聖歌隊に採用されましたが、その全盛期はオペラ誕生後の17〜18世紀でした。彼らは広い音域と超人的な歌唱技巧によって、バロック期のイタリア・オペラで重用されました。 ファリネッリ、本名カルロ・ブロスキ Carlo Broschi (1705-1782)は、1722年にローマでデビューし、やがてヨーロッパ随一の名手と呼ばれるようになりました。ヨーロッパの諸候や君主とも親しく交わり、フェリペ5世 (1683-1746、在位1700-24、1724-46)とフェルディナント6世 (1713-59、在位1746-59)の2代のスペイン王の側近として仕えました。 この肖像画のファリネッリは、カラトラバの赤十字騎士団の紋章がついたマントをまとい、左手をチェンバロの上に置いた凛々しい立ち姿で描かれています。カラトラバの赤十字騎士団は、1164年に法王から認可された騎士修道会の流れをくみ、当時のスペインでは王侯貴族しか構成員になれなかったと言いますから、ファリネッリがどれほどスペイン王家から重用されていたかが、この絵からだけでもくみ取れるような気がします。 ちなみに、ファリネッリの向かって左後ろの男女はスペイン王フェルディナント6世と妻マリア・バルバラで、右後ろの男性はこの絵を描いたコッラード・ジアキント自身です。 ジアキントは、ナポリとローマを中心に活動したイタリア・ロココの画家ですが、1753年から1762年までの間は、サン・フェルナンド王立美術アカデミーの教授として、またスペイン王のタペストリー工房の監督としてマドリードで活躍しました。 (2007/09/28)
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