Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(29)―――


ドメニゴ・アントニオ・デ・ヴェラスコ『ドメニコ・スカルラッティの肖像』
ドメニゴ・アントニオ・デ・ヴェラスコ
Domingo Antonio de Velasco
(生没年不明)

『ドメニコ・スカルラッティの肖像』
Portrait of Domenico Scarlatti

1738年頃制作

ポルトガル,アルピアルカ,パツドス博物館
Casa Museu dos Patudos, Alpiarca, Portugal



『近代的クラヴィーア奏法の父』とも評される、ドメニコ・スカルラッティ Domenico Scarlatti (1685-1757) の肖像画です、彼の 肖像画というと、ほとんど例外なくこの絵が使われますので、唯一の肖像画と行って良いのかもしれません。

チェンバロ(?)に右手を置き、左手に楽譜(手紙?)を持って、ピンと胸を張った立ち姿は、音楽家としての自負や自信をあらわしているように思われます。はじめてこの絵を見たとき、思わず“格好いい”とつぶやいてしまい、友人に笑われた思い出があります。

ドメニコ・スカルラッティは1719年からポルトガルの宮廷楽長に就任すると同時に、王女マリア・バルバラの音楽教師となり、その後生涯にわたって彼女と行動をともにしました。マリア・バルバラが1729年のスペイン王に嫁ぐと、随伴してスペインに移ります。

1738年にポルトガルから爵位を受けたスカルラッティは、謝意を表すために、マリア・バルバラのために作曲した作品を《チェンバロ練習曲集 Essercizi per Gravicembalo》としてを献呈しました。この肖像画は、その頃に描かれたものと推定されています。

この絵を描いたドメニゴ・アントニオ・デ・ヴェラスコは、名前しかわからない謎の画家です。名前から言っても、スペインかポルトガル人で、フランス・ロココの肖像画を学んだ、宮廷に近いところで活動した画家だと思うのですが、グローヴ美術事典でもインターネットでも調べられませんでした。

まあ、18世紀あたりでも、音楽家や画家は職人の扱いをされる場合が多かったようですから、名前が伝わっただけでも良かったと言うべきかもしれませんが……

(2006/11/19)

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