Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(26)―――


ウィリアム・ホガース『芸術家や教授達に取り囲まれる』
ウィリアム・ホガース
William Hogarth
(1697-1764)

芸術家や教授達に取り囲まれる
(「レイクの遍歴(放蕩息子一代記)」より)
Surrounded by Artists and Professors      
(A Rake's Progress)

1732-34年制作

ロンドン,ジョン・ソーンズ博物館
Sir John Soane's Museum, London




「放蕩息子の遍歴」「放蕩息子一代記」または「放蕩一代記」とも訳される『レイクの遍歴 A Rake's Progress』は、ヴァイオリンでも取り上げたウィリアム・ホガースの、初期の代表作のひとつです。

ホガースは、裕福な家庭の青年であったトム・レイクウェル Tom Rakewell が、父の死によって遺産を手に入れるやいなや、たちまち放蕩に身を持ち崩し、最後は悲惨な死を迎えるという転落の物語を、8枚組の連作で描き出しました。

『芸術家や教授達に取り囲まれる』はその2シーン目にあたり、新当主のお披露目の会で、様々な "技能" の販売競争をするゴマスリ達に取り囲まれ、貴族的な見せかけを保つための浪費をうながされるトムの様子が描かれています。

ヴァイオリンを持っている左側の男性はダンス教師、その左側にはフェンシング教師、フェンシング教師とトムの間に見えている男性は、持っている図面から考えて建築家か造園家でしょう。右手前でひざまずいている騎手は、優勝カップを見せながら競走馬を飼うように勧めているようです。左側のチェンバロ弾きは音楽教師というところでしょう。

ただし、この絵の皮肉な雰囲気は、1735年に出版された版画版の方がより強いようにも思われます。多分、上流階級に売るための油絵に比べ、版画は一般大衆向けにわかりやすく、インパクトがより感じられるようにしているのではないでしょうか。

ちなみに、油絵を版画化することによって、ホガースは風刺画家としての名声を不動のものにしたわけですが、一方で海賊版の横行に悩まされることになりました。そのため、彼は著作権法の制定に尽力し、1735年にイギリスで制定された、現在の著作権法の元にもなったその法律は、一般に「ホガース法」と呼ばれています。

(2007/09/28)

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