Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(19)―――


マルコ・リッチ『オペラの下稽古』
マルコ・リッチ
Marco Ricci
(1676-1729)

『オペラの下稽古』
Rehearsal of an Opera

1709年頃制作

米国,エール英国美術センター
Yale Center for British Art, USA



マルコ・リッチは、18世紀ヴェネツィア派絵画の方向性を示したと言われる、セバスティアーノ・リッチ Sebastiano Ricci (1659-1734)の甥で、18世紀ヴェネツィアを代表する風景画家、版画家として知られています。

ェネツィアの北部山間部にあるベッルーノ Belluno に生まれたマルコは、ヴェネツィアで活躍していた叔父のセバスティアーノ・リッチのもとで絵を学びますが、1696年にけんかが元でゴンドラ乗りを殺してしまい、ダルマチア Dalmacija(ヨーロッパ南東部、アドリア海東岸の地方。現在はほぼ全域がクロアチア領)へ逃亡し、風景画家の徒弟として同地に4年間留まりました。

その後ヴェネツィアに戻りますが、叔父や他の画家たちとしばしば共同制作をしばしば行っています。その関係もあって、ミラノやローマ、フィレンツェ、イギリス、オランダなど各地を転々としますが、1715年以降はヴェネツィアから離れることはなかったようです。

1708年から2年間、マルコはソプラノ・カストラートのヴァレリアーノ・ペレグリーニ Valeriano Pellegrini (c 1663-1746) とともにロンドンに渡り、オペラの舞台美術を手がけました。『オペラの下稽古』は、この頃に描かれたものだと考えられています。

チェンバロやチェロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ヴァイオリンの伴奏で、歌手たちが歌の練習をしています。中央付近のかつらをかぶった男性は、ペレグリーニである可能性が強そうです。練習風景のスケッチ風な絵ですが、フランス・ロココの雅宴画(フェート・ギャラント fete galante)に通じるような小粋さ感じられるように思われます。

(2007/10/24)

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