Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(17)―――


ジョゼッペ・マリア・クレスピ『求愛された歌手』
ジョゼッペ・マリア・クレスピ
Giuseppe Maria Crespi
(1665-1747)

『求愛された歌手』
The Courted Singer

制作年不明

イタリア,フィレンツェ,ウフィツィ美術館
Galleria degli Uffizi, Florence, Italy



『求愛された歌手』は、リュートリコーダーでも取り上げたジョゼッペ・マリア・クレスピの作品です。ただし、先のふたつの絵とはかなり絵の雰囲気が違っていますね。実は、これを見て真っ先に思い浮かんだのは、ピエトロ・ロンギ Pietro Longhi (1702-1783) の一連の風俗画でした。

ロンギがクレスピの弟子であったという明確な資料は無いのですが、1740年代のボローニャでこのふたりの画家は活動しています。『求愛された歌手』の制作年は不明ですが、この絵の題材や描き方はクレスピの晩年の特徴を見せていますから、クレスピとロンギは何らかの形で、影響し合う関係にあったと考えても良いように思われます。

中央の青い服を着て、座ってチェンバロのキーに手を置いている女性が求愛されている歌手で、その右手で首飾りを見せながら話しかけているのがプロポーズ中の男性でしょう。周りの野次馬たちは、富を見せつけて女性の歓心を買おうとしている男性と、宝石に心を動かしそうになっている女性を囃し立てているようにも見えます。

ロンギの風俗画に比べると、クレスピの方が道徳的な面の表現がやや辛辣かな、と思ったりしたのですが、皆さんはどう感じるでしょうか。

(2007/10/20)

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