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アントン・トゥルーヴァン Antoine Trouvain (1656-1708) 『ド・メヌトゥ嬢の肖像』 Portrait of Mlle de Menetou 制作年不明 パリ,フランス国立図書館 Bibliotheque Nationale de France, Paris |
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日本の浮世絵もそうですが、写真という記録媒体が一般に普及する以前には、ヨーロッパでも版画が広告やブロマイドという機能をはたしていました。従って、バロック時代の個人肖像の版画は、多くは芸術家や学者などの著名人のものが一般的です。ここで取り上げたクラブサンを弾いている『ド・メヌトゥ嬢の肖像』も、多分ブロマイド的に使用されたのではないかと思います。 ちなみに、モデルのド・メヌトゥ嬢−本名:フランソワーズ・シャルロット・ド・センヌテール Francoise Charlotte de Senneterre (1680-?)は、この時代の女性作曲家のひとりです。ただし、エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲール Elisabeth-Claude Jacquet de La Guerre (1665-1729)と違って、私は彼女の作品を聴いたことがありませんし、現存しているかどうかも知りません。 この時代、現在の私たちが考える以上に、女性の作曲家や演奏家が存在していたようなのですが、その作品がほとんど残っていないか、あってもめったに演奏されないため、多くは忘れられた存在になっています。ド・メヌトゥ嬢もそのひとりなのでしょう。 版画の制作者のアントン・トゥルーヴァンについては、出身がベルギーらしいことと、ルイ14世の肖像版画家として知られたヘラルト・エードラン Gerard Edelinck (1640-1707) の弟子で、1707年にアカデミー会員なったことくらいしかわかりませんでした。現存する作品自体も少ないようですが、宮廷の娯楽や遊びを描いた、風俗画的な版画がいくつか残っています。 (2007/11/13)
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