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Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(11)―――


ヨハンネス・フォールハウト『家庭音楽のひとこま』
 
ヨハンネス・フォールハウト     Johannes Voorhout
(1647-1723)
 
『家庭音楽のひとこま』     Domestic Music Scene
1674年制作
 
ドイツ,ハンブルク歴史博物館     Museum fur Hamburgische Geschichte



『家庭音楽のひとこま』を描いたヨハンネス・フォールハウトは、アムステルダム出身の風俗画家です。生地のアムステルダムで画家としての修行をし、亡くなったのも同地ですが、1670年頃から1707年にかけてはハンブルクで制作を行っていました。彼の作風はカスパール・ネチェルヘラルト・テル・ボルフに似た雰囲気で、当時は人気のある画家だったようです。けれど、作品自体があまり残っていないらしく、私はこの絵ではじめて名前を知った画家でした。

17世紀のオランダでよく描かれていた、道徳的風俗画のようにも見える作品ですが、実質は集団肖像画の一種です。描かれている人物が全て特定されているわけではありませんが、中央の男性3人が当時高名だったオランダ出身の音楽家であることがわかっています。また、そのうちのひとりが、肖像画は残されていないと考えられていたディートリヒ・ブクステフーデ Dietrich Buxtehude (1637-1707) だったというので、発見された1970年代の中頃には、古楽愛好家の間で話題になったものでした。

実のところ、3人のうちで唯一名前と人物が一致しているのは、中央でチェンバロを弾いている男性だけです。彼は、この絵以外にも肖像画が残っていたため、北ドイツ・オルガン楽派の作曲家である、ヨハン・アダム・ラインケン Johann Adam Reincken (1623-1722) であることが確定しています。

他のふたりは、当時のオランダで『対位法の父』と呼ばれた作曲家・理論家・教師のヨハン・タイレ Theile.Johann (1646-1724) と、若き大バッハが、その音楽を聴きたいがためにアルンシュタットからリューベックまでの約370kmを徒歩で旅行した、というエピソードでも知られるブクステフーデだということなのですが、二人ともこの絵以外の肖像画が見つかっていないため、特定するまでにはいたっていません。

ただし、タイレは若い頃に歌手やヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として活躍していたと言うことから、左のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者をタレイと考えて、右側の膝に置いた楽譜の上で頬杖をついている男性をブクステフーデとするのが一般的なようです。

(2007/11/06)

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