Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(10)―――


フランソワ・ド・トロワ『エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールの肖像』
フランソワ・ド・トロワ
Francois de Troy
(1645-1730)

『エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールの肖像』
Elisabeth-Claude Jacquet de La Guerre

制作年不明

ニューヨーク,ローゼンバーグ&スティベル・ギャラリー
Rosenberg & Stiebel Gallery, New York



『エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールの肖像』は、リュートでも取り上げたフランソワ・ド・トロワの作品です。クロード・ルフェーブル Claude Lefebvre (1632-1675) に学んだ彼は、1690年代の半ば頃から、特に女性を美しく描く肖像画家として有名だったようです。ここで取り上げた肖像画でも、衣服の精緻な表現やまとった布の光沢とともに、描かれた女性の美しさが印象に残ります。

エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲール Elisabeth-Claude Jacquet de La Guerre (1665-1729) は、バロック時代のフランスで成功した、数少ない女性作曲家のひとりであり、クラヴサン奏者でもありました。

ルイ14世に重用された彼女は、バッハの従兄ヨハン・ゴットフリート・ヴァルター Johann Gottfried Walther (1684-1748) が編纂した、最初のドイツ語による『音楽事典 Musicalisches Lexicon』(初版1732)に評伝が載っていることでもわかるように、当時はヨーロッパ中で広く名が知られた音楽家でした。

彼女の右手のペンと左手の楽譜、左肘をついているクラブサンが、彼女の職業を表しています。正面を見据えた表情に、美しさと同時にモデルの意志の強さを感じさせるところが、この肖像画の素晴らしいところではないでしょうでか。

(2007/11/12)

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