Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(8)―――


フェルメール『合奏』
ヤン・フェルメール・ファン・デルフト
Jan Vermeer van Delft
(1632-1675)

『合奏』
The Concert

1665-66年頃制作

ボストン,イザベル・スチュワート・ガードナー美術館
Isabella Stewart Gardner Museum, Boston



『合奏』は、リュートヴィオラ・ダ・ガンバでも取り上げた、ヤン・フェルメール・ファン・デルフトの作品です。残念ながら、この絵は1990年3月18日の深夜、レンブラントやドガなど、他の12品の名画と共に盗難にあい、現在も実物がどこにあるかはわかっていません。

構図的には、この絵より数年前に描かれたと思われる「音楽の稽古」とよく似ています。そのことから、このふたつを対の作品と考える研究者もいるようです。

フェルメールの絵には珍しく、窓がまったく描かれていませんが、画面左上方から入ってくる光の具合が、左側にある窓の存在を暗示しています。また、画面に中央に自然と鑑賞者の視点が定まっていく構図は、フェルメールならではという気がします。

『合奏』の題のとおり、左に座っている黄色い服の女性は、蓋の裏に綺麗な装飾がほどこされたチェンバロを演奏し、それに合わせて右に立っている女性は歌を歌っています。鑑賞者に背を向けて椅子に座っている男性は、ちょっと見ただけでは何をしているかわかりにくいのですが、よく見ると左肩側にリュートのネック部分が見えていて、リュートを弾いていることがわかります。

壁に掛けられたバビュレーンの『取り持ち女』の絵が、どこか謎めいた雰囲気を漂わせつつも、シンとした静けさを感じさせるこの美しい絵が、いつか発見されることを願ってやみません。

(2007/10/27)

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