Early Music Art Gallery  ―――チェンバロ(7)―――


ヤン・ステーン『チェンバロを弾く若い女性』
ヤン・ステーン
Jan Steen
(1626-1676)

『チェンバロを弾く若い女性』
A Young Woman playing a Harpsichord

1659年頃制作

ロンドン,ナショナル・ギャラリー
National Gallery, London



『チェンバロを弾く若い女性』は、ヴァイオリンリュートでも取り上げた、レイデン生まれのオランダ人画家であるヤン・ステーンの風俗画です。

ヤン・ステーンの風俗画と言えば、当時の市民や農民の日常生活を卑俗にも見えるほどに風刺とユーモラスを交えて活写した画家ですが、恋人のためにチェンバロを弾く女性を描いたこの絵は、非常に静かで落ち着いた雰囲気を感じさせます。

上部に石造りのアーチが見えるこの室内風景は、ヘリット・ダウ Gerard Dou (1613-1675) が創始した「レイデン精緻派 fijnschilderij (Fine Painting)」の様式を模したものでしょう。そして、印象的な青いスカートは、フィルメールの『ヴァージナルの前に座る女』へ影響を与えたかもしれません。

また、この絵はチェンバロの蓋に書き込まれている格言、『行動は人格を表す ACTA VIRUM PROBANT (actions prove the man)』の名で呼ばれことがあります。ここに描かれているのは、おとなしめとは言え恋人同士の逢い引きなわけで、肯定的な意味にも否定的な意味にもとれる曖昧さは、画家のユーモアが十分に感じられるのではないでしょうか。

(2007/10/26)

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