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アンドレア・サッキ Andrea Sacchi (1599-1661) 『アポロンに冠を授けられる マルカントニオ・パスクアリーニ』
Marcantonio Pasqualini Crowned by Apollo1641年制作 ニューヨーク,メトロポリタン美術館 Metropolitan Museum of Art, New York |
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アンドレア・サッキは17世紀中期のローマにおいて、代表的な画家のひとりでした。ボローニャ派のフランチェスコ・アルバーニ Francesco Albani (1581-1641) に学んだ彼は、カラッチから続く古典的絵画の系譜を、後にローマ派の重鎮となったカルロ・マラッティ Carlo Maratti (1650-1718) へとつなげた人物として知られています。 ニコラ・プッサン Nicolas Poussin (1594-1665) の友人でもあったサッキの作品は、プッサンほど抑制的ではないものの、知的でバランスのとれた構成で描かれています。 ここで取り上げた『アポロンに冠を授けられるマルカントニオ・パスクアリーニ』は、肖像画であると同時に、「音楽」を表現した寓意画でもります。 画面右手に描かれたマルカントニオ・パスクアリーニ Marcantonio Pasqualini (1614-91)は、ローマ生まれのカストラートでした。1630年にシスティナ礼拝堂の聖歌隊に加わった彼は、1632年からはバルベリーニ宮殿で催された多くのオペラで主役を演じました。フランスにイタリア・オペラを広めようとしたマザラン枢機卿 Giulio Mazzarino (1602-61)の庇護のもと、フランスでも活動を行っています。 中央に描かれたアポロンは、ヴァチカン所蔵の『ベルヴェデーレのアポロン』に基づいたと思われる、理想的なプロポーションで描かれています。そして、右手の「縛られたマルシアス」は、アポロンの持つキタラに代表される、「知的」な音楽の勝利を暗示しています。 そのアポロンに冠を授けられることは、パスクアリーニの名声を表すと同時に、カストラートに代表されるバロック・オペラ、ひいてはバロックの「新しい音楽 nuova musica」の勝利を高らかに宣言したものと言えるのではないでしょうか。 ところで、パスクアリーニの右手が載せられている鍵盤楽器は、響板が垂直に付いた縦型(アップライト)のチェンバロである、クラヴィツィテリウム Clavicytherium です。ただし、弦がむき出しになって描かれているので、これを実際に演奏したとしても、ほとんど音を聴くことはできないと思いますが……。 (2007/10/28)
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