チェンバロcembalo, clavicembalo[伊] harpsichord[英] Cembalo, Kielflugel[独] clavecin[仏]
ハープシコード(英)、キールフリューゲル(独)、クラヴサン(仏)、クラビチェンバロ(伊)など、各国で様々な呼び方をされるチェンバロは、18世紀にピアノに移行するまで、オルガンと共に最も重要な地位を占めていた鍵盤楽器でした。
ただし、ピアノが弦をハンマーで打って音を出すのに対して、チェンバロは構造的にはプサルテリウム psalterium とうツィター型の撥弦楽器から発達した、鍵盤を持つ撥弦楽器といえるもので、鍵盤を押すとその先に垂直に立つジャック(木製の打弦槌)の先端についている、鳥の羽軸や革で作られた爪(プレクトラム)で下から弦を引っかいて音を出しています。
そのため、繊細で華麗な音色が出せる反面、タッチの差による音の強弱はほとんど無く、音の持続性もピアノに比べると短く、大きな音が出しづらいなど、広いコンサートホールで演奏するには不向きであったため、ピアノが発展し普及するに従って、ほぼ1世紀の間、忘れられた楽器のひとつになっていました。
19世紀末からチェンバロ復興の試みがはじまりましたが、初期は複雑な構造と頑丈な胴体を持ち、大きな音が出せるコンサートホール向きに創造された「モダン・チェンバロ」による演奏が主流であり、歴史的なチェンバロによる演奏が再現されるようになったのは1960年代前後のことです。
ところで、広義のチェンバロはプサルテリウム由来の大小全ての撥弦鍵盤楽器を指しますが、古楽画廊では狭義のチェンバロ、つまり大型のグランド・ピアノ型のものと、クラヴィツィテリウム Clavicytheriumと呼ばれる、響板が垂直に付いたアップライト・ピアノ型のチェンバロの絵を集めてみました。小型のチェンバロはヴァージナルの項目に一括して収める予定です。